お酒をやめる方法は?~アルコール依存症の人を対象にした研究~

ストレス社会を生きるあなたへ、、、

ストレスが増えると、どうしてもお酒に逃げてしまうことがありますよね、、、

お酒の飲みすぎは良くないことは分かっているけど、、、

、、、ということで、今回は、お酒の誘惑を断つ一助となるような研究結果を紹介します!

はじめに

アルコール依存で起こる悪影響

今回紹介する先行研究では、アルコール依存症になることで、不安感情やうつ病などの精神疾患にかかる可能性が上がることが分かっています。

また、心血管疾患(心臓病など)、メタボリックシンドローム糖尿病のリスクが高まることも明らかとなっています。

「酒は百薬の長」と言われますが、飲みすぎると全くいいことなしですね、、、

「お酒はほどほどに」が一番なのですが、中にはお酒をやめられずアルコール依存症になってしまう人がいるのも事実です。

そんな人は、なんとかして「お酒を飲みたい!」という欲望を抑える必要があります。

アルコール依存に対する運動の効果

そこで、研究者は「運動すれば、お酒を飲みたい欲望を抑えられるのでは?」と考えました。

そして様々な研究結果から、運動すれば気分の改善、ストレスの低下、そして、アルコールへの欲望を減らすことが明らかとなっています。

しかしながら、「運動」がアルコールへの欲望を抑えることは分かりますが、どのような運動の種類がより効果をもたらすか調査された研究は少ないのが現状だそうです。

そこで今回紹介する論文では、ランニングなどの中程度の「有酸素性運動」と低強度運動である「ヨガ」の2種類の運動が、どの程度アルコール消費量を減らすのかを調査しました。

実験内容

被験者

被験者は、医者からアルコール依存と診断された140人を対象としていました。

また、アルコール依存症かつアルコール依存の治療を求めていない人を対象としていました。

つまり、今回の実験結果でアルコールの消費量が減ったとしても、自分の意志でアルコールを減らしたのではなく、運動によって減ったと言えます。

また、140人の被験者を「有酸素性運動グループ」、「ヨガグループ」、「カウンセリング(アルコール依存治療のスタンダードな方法)グループ」の3グループに分けました。

実験デザイン

「有酸素性運動グループ」、「ヨガグループ」の被験者は、週3回以上、12週間の有酸素性運動、ヨガを行ってもらいました。1回の運動・ヨガは60分でした。

また、「カウンセリンググループ」は、12週間のうちに最大3回、アルコール依存治療の専門家からカウンセリングを受けてもらいました。

実験の結果

12週間の介入期間を終えた結果、「有酸素性運動グループ」、「ヨガグループ」、「カウンセリンググループ」のすべてのグループでアルコール消費量が減少しました。

その後、各グループのアルコール消費量を比較した結果、「有酸素性運動グループ」と比較して、「ヨガグループ」、「カウンセリンググループ」のほうが、よりアルコール消費量を減少させました。

カウンセリングは有酸素性運動の約4.2倍、ヨガは有酸素性運動の約5.1倍も減少させました。

出典:Gunillasdotter, V et al. (2022)より引用し、改変

なぜこのような結果になったのか?

それではなぜ有酸素性運動よりヨガの方が効果があったのでしょうか?

有酸素性運動による多少きつい運動は不快感を伴う可能性があります。

激しい運動の後にはビールを飲みたくなることがありませんか?

不快感を快感に変えるために、アルコールを欲する可能性が考えられます。

一方、ヨガの効果として、気分と幸福感を上げる効果があり、抗うつ効果があることが先行研究から明らかとなっています。

ヨガのようなきつくない運動によって、よりポジティブな気分を発生させた可能性があります。

そのためアルコール摂取による気分を上昇させる必要が無くなり、アルコールの消費量が減少した可能性が考えられます。

まとめと提案

今回の実験結果から、有酸素性運動よりヨガの方が、カウンセリングと同程度アルコール消費量を減少させることが分かりました。

この結果だけを見ると、カウンセリングで十分じゃないか?と思うかもしれません。

しかし、ヨガは姿勢を整える効果など、他にも様々なメリットがあります。

フィットネスクラブに行くと、ヨガの講座は広く開かれています。新たな出会いがあり、お互いにモチベーションを保つ良いサイクルができるかもしれません。

是非ヨガを体験してみてはいかがでしょうか?

参考文献

2022/03/01 公開論文

Gunillasdotter, V., Andréasson, S., Jirwe, M., Ekblom, Ö., & Hallgren, M. (2022). Effects of exercise in non-treatment seeking adults with alcohol use disorder: A three-armed randomized controlled trial (FitForChange). Drug and alcohol dependence232, 109266.

https://doi.org/10.1016/j.drugalcdep.2022.109266

論文が掲載されている雑誌

Drug and Alcohol Dependence

インパクトファクター(IF)

4.492(2022/03/24 現在)(参考:Academic Accelerator)

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