「新生活で1人暮らしを始めたら、最近太ってきた」「体重は普通だけど余分な体脂肪を減らしたい」
あなたはそんな悩みを抱えていませんか?
今回は、「HIIT」というトレーニング方法が体脂肪を減らす効果があるのか、実験した論文を紹介します!
今回実験の対象となったのは女子大生ですが、女子大生に限らず体脂肪を減らしたい方は是非ご覧ください!
知っておくだけで損になることは一切ないと思います!
目次
はじめに
最近注目の「正常体重肥満(隠れ肥満)」
みなさんは「正常体重肥満(Normal Weight Obesity; NWO)」という言葉を知っていますか?
実は近年、この「正常体重肥満」が身体によくないと注目されています。
見た目は普通でも中身が肥満であることから、「隠れ肥満」とも言われています。
見た目から肥満と判断できず、有病リスクを過少に判断してしまうことがあるそうです。
「正常体重肥満」とは?
「正常体重肥満」とは、正常なBMI※の範囲内にもかかわらず、体脂肪率が高い状態のことを言います。
WHO(世界保健機関)の定義では、BMIが18.5以上~25.0未満(通常25.0以上で肥満と診断されます)であるにもかかわらず、体脂肪率が男性で20%以上、女性で30%以上であることです。
※BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2で算出できます。
「正常体重肥満」の原因と悪影響
「正常体重肥満」は大学生の間で多く、特に女性で多いことが分かっています。
その原因は、時間がないことによる運動の不足、不規則な食事、睡眠不足などが挙げられます。
このように不規則な生活が「正常体重肥満」を引き起こしているのです。
先行研究では、「正常体重肥満」は一般的な肥満と比べて、心血管疾患を発症するリスクが高いことが分かっています。
また、動脈硬化の発生率が高く、若いうちから動脈硬化になる可能性もあると考えられます。
にもかかわらず、体の見た目から判断できず有病リスクを過少に判断してしまう、厄介な肥満です。
どうしたら「正常体重肥満」を改善できる?
それでは、どうしたら「正常体重肥満」を改善できるのでしょうか?
先行研究では、やはり運動が効果的であることが明らかとなっています。
しかし、「運動する時間がない」や「長期間運動を続けることができない」方は多いのではないでしょうか?
運動が健康に良いと頭で分かっていても、なかなか運動を続けることは難しいのです、、、
近年注目されているHIIT
そこで近年、HIITというトレーニング方法が注目されています。
HIITとは、High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)の略で、高強度の運動と休息を交互に行うトレーニング方法です。
HIITの中で有名なトレーニングは「タバタトレーニング」があり、20秒高強度の運動、10秒休息を繰り返し行います。
特徴として、タバタトレーニングはなんと5分程度で終わるので、時間がない人におすすめです。
イメージとしては以下の動画が分かりやすいかなと思います。
このように、HIITは短い時間で追い込むことのできる、時間効率の高いトレーニング方法です。
またHIITはタバタトレーニングの他にも、「40秒運動・20秒休息の9セット」など運動と休息を自由に組み合わせたメニューを立てることもできます。
そこで今回の研究の目的は、女子大生の「正常体重肥満」者を対象に、短期間(1か月)のHIITが体脂肪減少に効果があるのか調査しました。
実験の内容
被験者
被験者は「正常体重肥満」の女子大生で、30名の実験が完了しました。
実験デザイン
被験者を「コントロールグループ(何もしないグループ)」と「HIITグループ」の2つに分けました。
HIITグループでは、週に5回、4週間のHIITトレーニングを行ってもらいました。
1回のHIITの内訳は、10秒ウォームアップした後、40秒高強度の運動(スクワットジャンプやバーピーなど)と20秒の休息を行ってもらい、これを9セット行います。
9セット終わった後1分休憩を取り、再び9セット行います。これを3回繰り返します。
そして最後にストレッチ等クールダウンをして終了です。
この運動を4週間行ってもらいました。
では、4週間後はどのような結果だったのでしょうか?
実験の結果
HIITを行ったグループでは、体重、体脂肪、血圧、中性脂肪、総コレステロール、動脈硬化度など、明らかに体組成を改善しました。
論文の原文を見ていただきたいのですが、ほぼすべての指標が改善されています。
このように、たった4週間HIITを行うだけで、有病リスクが明らかに減少しました。
![](https://science-tech-blog.com/wp-content/uploads/2022/04/20220401_1_Effects-of-high-intensity-interval-training-on-improving-arterial-stiffness-in-Chinese-female-university-students-with-normal-weight-obese-1.png)
DBP=拡張期血圧
CON=コントロールグループ
HIIT=HIITグループ
![](https://science-tech-blog.com/wp-content/uploads/2022/04/20220401_2_Effects-of-high-intensity-interval-training-on-improving-arterial-stiffness-in-Chinese-female-university-students-with-normal-weight-obese-1.png)
TC=総コレステロール
CON=コントロールグループ
HIIT=HIITグループ
まとめと提案
「正常体重肥満」の女子大生が4週間HIITを行った結果、体重、体脂肪、血圧、動脈硬化度などを改善させ、明らかに有病リスクが減少しました。
これはすごいことで、たったの4週間でほぼ確実に健康へ効果があります。
しかし、この実験では1週間に5回のHIITを行っています。
時間は短いとはいえ、HIITは比較的きつい運動であるため、途中で実験をやめてしまった被験者も数人いたそうです。
今回この記事を見て、HIITをやってみようと思った人は4週間続けさえすれば、健康な未来が待っています。
自分に合わなければやめて良いと思いますので、1度でもHIITをやってみてはいかがでしょうか?
また、HIITのような高強度の運動はケガのリスクも考えられます。
ウォームアップ、クールダウンを必ず行うようにしてください。
また、タバタトレーニングについてもっと詳しく知り、理論を学んだうえで実践してみたい方は、タバタトレーニングの発明者である田畑泉先生が書いた本をご覧いただくのがおすすめです。
参考文献
2022年2月2日 公開論文
Hu, J., Liu, M., Yang, R., Wang, L., Liang, L., Yang, Y., Jia, S., Chen, R., Liu, Q., Ren, Y., Zhu, L., & Cai, M. (2022). Effects of high-intensity interval training on improving arterial stiffness in Chinese female university students with normal weight obese: a pilot randomized controlled trial. Journal of translational medicine, 20(1), 60.
https://doi.org/10.1186/s12967-022-03250-9
論文が掲載されている雑誌
Journal of Translational Medicine
インパクトファクター(IF)
4.965(2022/04/02 現在)(参考:Academic Accelerator)